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便秘と大腸がんの関係:大腸がんの実態と厚生労働省の調査

便秘と大腸がんの関係:大腸がんの実態と厚生労働省の調査

「便秘が続くと大腸がんになりやすい」と思う人はたくさんいます。腸内環境は健康状態に直接関わっているため、そのように考える専門家もいます。

 

ただ、便秘が大腸がんの原因となることを示した例はありません。そのため、「便秘と大腸がんとの関係」については、はっきりした結論が得られていません。

 

そこで今回は、便秘と大腸がんとの関係について、これまでに得られた知見を整理したいと思います。私も含め、便秘体質の人にとっては気になる内容だと思いますので、参考にしてみてください。

 

便秘が大腸癌に関係すると考える根拠

「便秘が大腸がんに関係する」と考えている医師や専門家には、当然そう考える根拠があります。それは「大腸がんが発生しやすい箇所は便の蓄積場所と一致している」ということと、「便秘になると発がん促進物質が腸に溜まる」ということです。それぞれ具体的に説明していきます。

 

※ 発がん促進物質:その物質単独では発がん作用はありません。しかし、他の発がん物質が共存すると、その発がん作用を増強させる性質があります。

 

大腸がんが発生しやすい箇所
大腸がんが発生しやすい箇所は直腸とS状結腸(エスじょうけっちょう)です。なんと大腸がんの約7割がこの場所に集中しています。

 

※ 直腸:大腸の一番後ろの部分、つまり肛門の直前部分です。
※ S状結腸:大腸の後半部分で直腸の手前です。この部分の腸は「S」字状に曲がっています。

 

直腸とS状結腸は便が溜まる場所でもあります。便が溜まる場所で7割の大腸がんが発生しているため、「便と大腸の細胞が接する時間が長ければ長いほど、大腸がん発症リスクが高くなるのではないか」と考えられているのです。

 

発がん促進物質の蓄積
脂肪の消化吸収に重要な胆汁(たんじゅう)という消化液があります。胆汁は肝臓で作られて、十二指腸(胃のあとに続く消化管)に分泌されます。この胆汁の中には、一次胆汁酸と呼ばれる物質が含まれています。

 

胆汁のほとんどは小腸から吸収されますが、一部は吸収されずに大腸まで到達します。そして腸内細菌によって、胆汁に含まれる一次胆汁酸は二次胆汁酸へと変換されます。この二次胆汁酸が発がん促進物質なのです。

 

便秘になると、腸管内に二次胆汁酸が蓄積し続けることとなります。一部は腸壁から吸収されて肝臓へと運ばれますが、それ以外のものは排泄されない限り、腸の中に留まり続けます。そのため、発がんリスクが上がると考えられているのです。

 

このように、「大腸がんが発生しやすい箇所は便の蓄積場所と一致している」、「便秘になると発がん促進物質が腸に溜まる」という2つの根拠から、「便秘になると大腸がん発症率が上がる」と考えられています。

 

これだけを聞くと、たしかに便秘は大腸がんの発症に関係している可能性があります。

 

ところが、厚生労働省が2006年に行った調査では「便秘は大腸がんに関係しない」という結果が得られています。そこで、この調査結果について確認していきたいと思います。

 

厚生労働省の調査

2006年、厚生労働省の研究班によって、便秘と大腸がんとの関係が調べられました。調査の概要を以下に簡単に示します。

 

・ 調査対象:40〜69歳の男女、約6万人
・ 調査期間:1993年から約7年間
・ 調査内容:排便回数と大腸がん発症率の関係
・ 結果:排便回数が「週に2〜3回の人」、「毎日1回の人」、「1日に2回以上の人」に分けて調査した結果、大腸がん発症率に違いはなかった。

 

この調査から、排便の頻度は大腸がんの発症に関係しないということが分かりました。そのため、多少便秘気味だからといって、過度に心配する必要はありません。

 

ただ、この調査結果に対しては、「調査期間が短いのではないか?」、「現在は食生活がさらに欧米化しているため、昔の調査はあまり参考にならないのではないか?」、「もっと重い便秘の人と比較するべきではないか?」という意見もあります。

 

そのため、この調査結果だけで「便秘は大腸がんに関係ない」と結論付けることはできないと考えられています。

 

このように、便秘と大腸がんとの関係については、専門家の間でも統一した見解が得られていません。そこで、日常生活では以下の三点に留意して、必要に応じて医療機関を受診するようにしてください。

 

・便秘になったからといって大腸がんを過度に心配する必要はありません。心配するあまり、下剤を頻繁に使用することは、腸内環境と便秘を悪化させるため、むしろ逆効果です。

 

・便秘が重症化したり慢性化したりすると大腸がんなどの重篤な疾患にかかるリスクが上がる可能性があります。そのため、便秘になった場合は早期に解消したほうがよいです。

 

・生活習慣を改めても便秘が解消されない場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあります。「一週間以上便が出ない」、「便に血が混じる」、「排便時に痛みがある」などの場合は、医療機関を受診したほうがよいです。

 

ほとんどの便秘は生活習慣を改めることで解消することができます。そのために必要な情報は全てこのサイト上で紹介していますので、ぜひ参考にして実践してみてください。

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