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下剤の種類:新しいタイプの下剤

下剤の種類:新しいタイプの下剤

下剤は、有効成分がどこに作用するかによって、「刺激性下剤」と「機械性下剤」に分類されます。

 

刺激性下剤とは「腸に作用してぜん動運動(食べた物を肛門方向へと移動させる収縮運動)を促進する薬」です。一方、機械性下剤は「便に作用して、便の水分量や体積を増やす薬」です。

 

ただ、これらとは異なるタイプの下剤も開発されています。例えば、2012年に日本で使用が認められた「ルビプロストン(商品名:アミティーザ)」という薬が挙げられます。また、2016年には「リナクロチド(商品名:リンゼス)」という薬も使用が認められました。

 

そこで今回は、これらの新しいタイプの下剤について紹介します。便秘解消のための新たな味方となりますので、どのような薬か理解しておきましょう。

 

ルビプロストン(商品名:アミティーザ)の特徴

上記の通り、刺激性下剤は腸に作用して腸のぜん動運動を促進する薬です。また、機械性下剤は便に作用して、便の水分量や体積を増やす薬です。では、ルビプロストンはどのように作用するのでしょうか?

 

実は、ルビプロストンは刺激性下剤と機械性下剤の特徴を併せ持った薬です。つまり、「腸に作用して腸管への水分分泌を促し、便の水分量を増やす」という働きをします。

 

ルビプロストンは、腸管の細胞膜上にあるクロライドイオンチャネルというタンパク質に作用します。そのためルビプロストンは、「クロライドイオンチャネルアクチベーター」というタイプに分類されます。

 

アクチベーター(activator)という言葉には、「活性化剤」という意味があります。つまり、ルビプロストンにはクロライドイオンチャネルを活性化する働きがあります。この働きにより、細胞内にあるクロライドイオン(Cl-)という物質(厳密にはイオン)が、腸管内へと放出されます。

 

腸管内におけるクロライドイオンの量が増えると、腸管内の浸透圧(水分を引き寄せる力)が高くなります。そのため、腸管内へ腸液の分泌が促され、便の水分量が増えます。

 

なおルビプロストン(商品名:アミティーザ)は、6ヶ月以上便秘が続く慢性便秘症の患者さんに対して処方されます。

 

このような重症の方に処方される薬ですが、ある薬剤師の方から「非常によく効く薬で、長期の便秘で悩んでいた方でも、ルビプロストン(商品名:アミティーザ)を服用するだけで解消することがある」という話を聞きました。

 

このように優れた効果があることから、ルビプロストンは重い便秘症の方や医療関係者から強く期待されています。

 

リナクロチドの特徴

リナクロチドもルビプロストンと同じように、「腸に作用して腸管への水分分泌を促し、便の水分量を増やす」という作用メカニズムで排便を促します。

 

リナクロチドは、腸管の細胞膜上にある「グアニル酸シクラーゼ受容体」というタンパク質に作用します。この名前を覚える必要はありませんが、「ルビプロストンとは異なるタンパク質に作用する」ということは理解していただけるかと思います。

 

グアニル酸シクラーゼ受容体にリナクロチドが作用すると、細胞内でさまざまな反応が起こった後、腸管内にクロライドイオン(Cl-)が放出されます。この後はルビプロストンと同様に、腸管への水分分泌が促進されることにより、便が柔らかくなります。これが、リナクロチドの作用メカニズムになります。

 

またリナクロチドには、ほかの下剤にはない面白い特徴あります。なんとリナクロチドは「毒から作られた薬」なのです。最後にこのことについて簡単に紹介します。

 

病原性大腸菌にあてはまる細菌として、「腸管毒素原性大腸菌」がいます。これは、海外旅行者が旅行先で発症する下痢の原因になることが多い大腸菌です。

 

この大腸菌はエンテロトキシンという毒素を産生します。そして、この毒素は腸管内の細胞に作用して下痢を引き起こします。つまり、この毒素はある意味下剤なのです。

 

そうはいっても、エンテロトキシンはあくまで毒です。そこで、このエンテロトキシンをいろいろと加工することによって、リナクロチドという薬が作られました。

 

※このように、毒が薬になるということは稀にあります。例えば、ボツリヌス菌という細菌が作り出す「ボツリヌス毒素」が挙げられます。この毒素は食中毒を引き起こす強力な毒素ですが、眼の病気に対する医薬品として使用されることがあります。

 

今回述べてきたように、新しいタイプの下剤として、ルビプロストン(商品名:アミティーザ)やリナクロチドなどの薬があります。また、現在でも新しいタイプの下剤を開発している製薬会社があります。そのため、今後もより良い下剤が開発されることが期待されます。

 

ただ便秘において、下剤に頼るのはあくまで最後の手段です。便秘解消の基本は、食生活と生活習慣の改善です。このサイトにはそのための情報を公開していますので、ぜひそれらを活用して、健康的な便秘解消を試みてください。

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