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食後にお腹をくだす「胆汁性下痢」:発症メカニズムと対応策

食後にお腹をくだす「胆汁性下痢」:発症メカニズムと対応策

朝食や昼食の後に便意を感じることはよくあります。これは「胃・結腸反射」と呼ばれるもので、胃への刺激が結腸(大腸の大部分を占める部分)に伝わって排便が促される現象です。

 

これは正常な反応なので、何も気にする必要はありません。

 

ところが、食事の後に決まって下痢になる場合は少し注意が必要です。「食事(特に朝食)の後、30分〜2時間後に急にお腹をくだしてしまう」という症状が長期間続いている場合は「胆汁性下痢(たんじゅうせいげり)」の可能性があります。

 

下痢は日常生活に支障をきたすことがあるため、ストレスの要因になります。そして、そのストレスがさらに腸内環境を悪化させるという悪循環に陥ってしまいます。

 

ただ、原因がわかれば適切に対処することは可能です。そこで今回は「胆汁性下痢が生じるメカニズムと対処法」について解説していきます。食後の下痢に悩んでいる方はぜひ参考にしてみて下さい。

 

胆汁の働き

まずは「胆汁性下痢」の病名にも使われている「胆汁」について理解を深めましょう。

 

胆汁とは脂肪の消化・吸収を助ける消化液です。胆汁は肝臓で作られます。一日あたり約600〜800mLの胆汁が作られ、一時的に肝臓のすぐ近くにある胆嚢(たんのう)という臓器に保存されます。

 

食事の刺激が胆のうに伝わると、保存されている胆汁が十二指腸(胃と小腸の間にある臓器)に分泌されます。

 

食べたものと胆汁は十二指腸で混ざり合います。そして胆汁に含まれる胆汁酸という成分が脂肪と反応します。その反応によって脂肪は水と混ざりあうようになります。この作用を「乳化」といいます。

 

乳化によって水と混ざり合うようになった脂肪は、脂肪分解酵素であるリパーゼの作用を受けやすくなります。

 

このように、胆汁は脂肪の消化・吸収に重要な働きをする消化液なのです。

 

胆汁の働き,胆汁の移動方向

 

胆汁性下痢が生じるメカニズム

上記の通り、胆汁は十二指腸に分泌されます。その後、食べたものと一緒に小腸を通過します。

 

そして、小腸の末端部分で一部の胆汁が吸収されます。小腸で吸収されたものは門脈と呼ばれる血管を通って肝臓に送られます。

 

つまり胆汁は、「肝臓で作られる → 胆のうに保存される → 十二指腸に分泌される → 小腸から吸収される → 門脈を通って肝臓に戻る」というふうに循環しているのです。これを専門用語で「腸肝循環」と呼びます。

 

ただ、小腸末端で吸収しきれなかった胆汁は大腸まで到達します。そして大腸に到達した胆汁が下痢の原因となるのです。

 

胆汁の腸管循環,胆汁性下痢の発症メカニズム

 

胆汁は大腸においてある種の下剤のように作用します。水分の吸収を抑制したり、腸粘膜から腸管内への水分の分泌を促したりするのです。これが下痢になってしまう理由です。

 

ただ健康な人の場合、多少大腸に到達する胆汁が多くても下痢になることはありません。しかし「胆汁に反応しやすい体質」の人の場合は、小腸で吸収しきれなかった胆汁が原因となって下痢が生じます。

 

また、手術が原因で胆汁性下痢になる場合もあります。例えば、胆のうや盲腸を手術で摘出したときなどです。

 

胆のうを摘出すると、胆汁が過剰に分泌されるようになります。そのため、小腸での吸収が追いつかずに多くの胆汁が大腸まで到達します。

 

また、重い虫垂炎(一般的に「盲腸」と呼ばれる病気のこと)では小腸末端部分を切除することもあります。その場合、小腸末端部分での胆汁の吸収が正常に行われないため、胆汁は大腸まで到達するようになります。

 

このように、「体質」や「手術」など、自分では対処しづらい原因によって胆汁性下痢が生じるのです。

 

※ 体質や手術のほか、食あたりや小腸の炎症で小腸の機能が落ちている場合には一時的に胆汁性下痢となることがあります

 

胆汁性下痢に特徴的な症状とその対応策

胆汁性下痢には、「食事(特に朝食)のあと、30分〜2時間後に下痢になる」や「下痢止め薬が効かない」という特徴があります。

 

特に下痢になるタイミングは大きな特徴なので、もし頻繁に下痢になるようでしたら、いつ便意をもよおしているか注意して確認してみてください。

 

また、胆汁性下痢に有効な薬として、コレスチミド(製品名:コレバイン錠)という薬があります。

 

この薬は本来、血液中コレステロール値が高い患者さんに処方される薬です。コレスチミドには「腸管内でコレステロールを吸着して排泄する」という働きがあるため、血液中のコレステロール値を下げるのです。

 

それでは、なぜコレスチミドは胆汁性下痢に有効なのでしょうか?

 

その理由は「胆汁の主成分である胆汁酸はコレステロールの一種」だからです。つまり、コレスチミドは腸管内で胆汁酸を吸着してそのまま排泄する薬なのです。その結果、大腸に到達する胆汁酸の量が少なくなり、下痢を防ぐことができるのです。

 

また、食生活に注意しておくことも重要です。上述のとおり、胆汁は脂肪の消化・吸収を助ける消化液です。したがって、脂肪の摂取量を減らすことで胆汁の分泌量を少なくすることができるのです。

 

日常的に腸内環境を整えておくことも大切です。繰り返す下痢によって腸内環境は乱れていると予想されます。そのため、ビフィズス菌や乳酸菌サプリメント、ヨーグルトなどを活用して腸内環境を良好に保つようにしましょう。

 

今回述べてきたように、胆汁性下痢は体質や手術が原因となることが多いです。もし胆汁性下痢の特徴によく似た症状がある場合は、コレスチミドが有効なので一度医師に相談してみるとよいでしょう。また、普段の食生活を意識して腸内環境を整えておくことも大切です。

 

まとめ

  • 胆汁は肝臓で作られ、十二指腸に分泌されます。その後、小腸から吸収されて再び肝臓に戻ります。このように腸と肝臓の間を循環することを「腸管循環」といいます。
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  • 小腸で吸収しきれなかった胆汁が大腸に到達することにより下痢になる場合があります。このような下痢を「胆汁性下痢」といいます。
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  • 胆汁性下痢には「食事(特に朝食)のあと、30分〜2時間後に下痢になる」「下痢止め薬が効かない」などの特徴があります。
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  • 胆汁性下痢にはコレスチミド(製品名:コレバイン錠)という薬が有効です。また脂肪の摂取を控えた食事や腸内環境によい食事を心がけましょう。
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