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発展途上国に行くときは注意:コレラ菌による感染症

発展途上国に行くときの注意点:コレラ菌による感染症

急な下痢が起こる原因の一つに食中毒や感染症があります。そして、その原因となる細菌やウィルスは非常にたくさんの種類があります。

 

その中でも、発展途上国などの衛生環境が悪い地域で感染しやすい病原菌の一つにコレラ菌があります。

 

日本国内で普通に生活している限り、コレラ菌に感染する可能性はほとんどありません。しかし、世界ではいまだに多くの感染者がいます。WHO(世界保健機構)の報告によると、毎年130〜400万人もの人が感染し、そのうち多い年では約3%の人が死亡していると推計されています。

 

私が過去にベトナムに旅行したときも、首都であるハノイでコレラ感染の情報がありました。そのため、コレラ菌に関する情報を集めてから旅行した記憶があります。

 

このように、衛生環境の整っていない地域に行くときは特に注意が必要です。そこで今回はコレラ菌の感染予防策や感染したときの対処法などを解説していきます。特に海外渡航を予定している人は内容を把握しておいてください。

 

コレラ菌の性質

コレラ菌は正式にはビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)という細菌です。ビブリオという名前からわかるとおり、日本における代表的が食中毒病原菌である「腸炎ビブリオ」の仲間です。

 

コレラ菌が作り出す「コレラ毒素」については、古くから研究されてきました。

 

私が研究者になりたての頃に学習した分子生物学の教科書にもコレラ毒素の作用メカニズムが記載されているほどです。真面目に分子生物学を勉強したことがある人であればみんな学習するほど有名な毒素なのです。

 

ただ別の観点からいえば、毒性を生じるメカニズムは解明されているが、解毒方法は確立されていないことになります。そのため、コレラ菌を体内に取り入れないことが何よりも重要なのです

コレラ菌の感染ルート

コレラ菌がたくんさん付着した食品を食べることによって感染します。

 

衛生環境の整っていない地域では、患者の便や嘔吐物で水や食材が汚染されていることがあります。そのような水や食材から感染することもあります。

 

ただ、コレラ菌は酸に弱いので、体内に入った細菌数が少なければ胃酸ですべて死にます。しかし大量に体内に入ってしまったり、胃酸の働きを抑える薬を飲んでいたりすると、胃を通過して腸に感染してしまいます。

 

腸に感染したコレラ菌はコレラ毒素を産生して体に悪影響を及ぼします。このように、「病原体の感染 → 病原体が体内で毒素を作る」という流れで起こる食中毒のことを「生体内毒素型」の食中毒といいます。

 

感染予防策

上述のとおり、コレラ菌を体内に取り入れないようにすることが何より重要です。

 

渡航先で自炊する場合は、「食材を冷蔵保存する」「サラダ、魚介類、水を生のまま飲食しない」「調理器具を使いまわさない」などの対策を取りましょう。

 

ただ渡航先では外食することも多いと思います。その場合は「なるべく加熱調理されたものを注文する」「生水は飲まない」ことが重要です。また氷の入った飲み物もできれば避けたほうがよいです。

 

またアフリカやインドなどの感染リスクの高い地域に渡航する場合は、事前にコレラワクチンを接種しておくことも有効です。コレラワクチンは日本国内では承認されていませんが、海外から輸入して接種してくれる医療機関があるので、そのような医療機関に相談してみましょう。

 

コレラ菌に感染したときの症状

もしコレラ菌に感染してしまったときの症状を以下に紹介します。

 

コレラ菌の潜伏期間(症状が出るまでの期間)は12時間〜5日間です。このように幅があるのは、体内に入ってきた細菌の数や体調によって変わるためです。

 

軽症の場合は、1日数回の下痢で済みます。

 

しかし重症になると激しい下痢が続きます。特に「米のとぎ汁」と表現される白い下痢が1日に20〜30回も起こるのです。なんとその排泄量は1日10L以上になります。さらに嘔吐もあります。

 

このような激しい下痢と嘔吐によって、患者は脱水症状になってしまいます。そしてこの脱水症状こそがコレラ菌感染による最大の死因なのです

 

また、脱水症状に伴って体にさまざまな変化があらわれます。特に「洗濯婦の手」と表現される指先のしわが特徴的です。また「コレラ顔貌(がんぼう)」と表現される目の落ち込みや頬のくぼみなども生じます。

 

コレラ菌に感染したときの対処法

最後に、もし感染してしまった場合の対処法について述べていきます。

 

軽症であれば、経口補水液(スポーツドリンクを薄めたようなもの)による水分補給だけで回復することがあります。

 

しかし、重症患者は下痢や嘔吐に伴う脱水症状が急速に進んでしまいます。そのため、自己流で水分補給するのではなく必ず医療機関を受診してください。重症の場合、無治療では致死率が約80%にも達するというデータもあるので、適切な治療を受ける必要があります。

 

重症患者の消化管は非常に弱っているため、医療機関では水分と電解質(ナトリウムやカリウム)の点滴を受けることになります。ただし、医療設備の整っていない地域の場合は、点滴ではなく経口補水液による治療が行われます。また抗生物質が処方される場合もあります。

 

ここまでコレラ菌による感染症の特徴と予防策を述べてきました。日本での感染リスクは高くないですが、発展途上国では感染してしまう可能性があります。そのような国に行く場合はしっかりと対策したうえで渡航しましょう。

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