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牛乳を飲むとお腹をくだす「大人の」乳糖不耐症

牛乳を飲むとお腹をくだす「大人の」乳糖不耐症

牛乳を飲むと「お腹がゴロゴロなる」「下痢になる」という経験をしたことはないでしょうか? これは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)という糖質が大腸内で作用するために起こる現象です。このような症状は乳糖不耐症と呼ばれます。

 

乳糖不耐症について考える際は、乳児と大人に分けて考える必要があります。その理由は以下の二つです。

  • 乳児はミルク(母乳)が主な栄養源であるため、乳糖不耐症は日々の栄養摂取に影響する
  •  

  • 乳児の乳糖不耐症には別の病気が関係している場合がある

一方、大人の場合は乳児ほど深刻ではありません。ただ、牛乳を飲むとお腹をくだす人にとっては気になる症状だと思います。そこで今回は「大人の」乳糖不耐症について、その特徴や発症メカニズム、対策を述べていきます。

 

目次

1. 乳糖不耐症の症状
2. 乳糖(ラクトース)の吸収にはラクターゼが必要
3. 乳糖が下痢を引き起こす理由
4. 日本人は加齢に伴ってラクターゼの働きが弱くなる
5. 「乳糖不耐症」という名称に物申す
6. 乳糖不耐症の対処法
7. まとめ

 

乳糖不耐症の症状

成人の乳糖不耐症では、牛乳を飲んだあと30分から2時間でお腹がゴロゴロなったり下痢になったりします。また、胃けいれんや吐き気に襲われることがあります。

 

ただ、体質の影響が大きいため、少し牛乳を飲んだくらいでは症状があらわれない人もたくさんいます。

 

乳糖(ラクトース)の吸収にはラクターゼが必要

乳糖不耐症の原因となっている乳糖(ラクトース)という糖質について理解しておきましょう。

 

乳糖はガラクトースとグルコース(ブドウ糖)という二つの糖が繋がった糖です。ガラクトースやグルコースが単糖類と呼ばれるのに対し、乳糖は二糖類と呼ばれます(単糖が二つ繋がっているから二糖なのです)。

 

乳糖は「糖」の一種ですが、人の小腸では乳糖をそのまま吸収することができません。

 

乳糖を吸収するためには、小腸の前半部分(空腸といいます)から分泌される「ラクターゼ」という乳糖分解酵素が働く必要があります。つまり、ラクターゼが乳糖をガラクトースとグルコースに分解することによって、小腸から吸収できるようになるのです。

 

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このように、乳糖を分解して吸収するためにはラクターゼという酵素が働く必要があります。もしこのラクターゼが適切に働かなかったらどうなるでしょうか? 

 

ラクターゼが正常に働かなければ、乳糖は分解されずにそのまま大腸へと到達します。そして、大腸に到達した大量の乳糖が下痢を引き起こすことになります

 

乳糖が下痢を引き起こす理由

乳糖は、以下に示す二つのメカニズムによって下痢を引き起こします。

  1. 乳糖は大腸内の浸透圧(水分を引き寄せる力)を上げます。これにより腸壁から腸管内への水分の分泌が促されるため、下痢になります。
  2.  

  3. 乳糖は腸内細菌によって分解されて、乳酸、ギ酸、酢酸、酪酸などに変換されます。このうち酪酸は大腸における最大のエネルギー源です。そのため、大腸のぜん動運動(食べたものを肛門方向へと移動させる収縮運動)が活発になって排便が促されます。

2に記載したように、乳糖は腸内細菌によって乳酸、ギ酸、酢酸、酪酸などに変換されます。これらはすべて「酸」です。乳糖不耐症の人の便から酸っぱいにおいがするのはこのためです。

 

ここまで読むと「乳糖の作用は善玉菌のエサであるオリゴ糖と同じ」ということに気付いた人もいるかもしれません。

 

実際、オリゴ糖とは「単糖類が2〜10個程度つながったもの」ですから、乳糖もオリゴ糖の一種なのです。

 

また市販のオリゴ糖には「一度に多量に摂ると、一時的にお腹がゆるくなることがありますのでご注意ください」と書かれている場合があります。

 

つまり、乳糖不耐症による下痢とは、オリゴ糖を大量に摂取したときに起こる下痢と同じなのです。

 

日本人は加齢に伴ってラクターゼの働きが弱くなる

ここまで述べてきたように、大腸に到達する乳糖が多いと下痢になります。言い換えると、小腸でラクターゼがしっかりと働いていれば下痢になることはありません。つまり、牛乳を飲んで下痢になるか否かは、小腸におけるラクターゼの働きによって決まるのです。

 

ただ、日本人を含むほとんどのアジア人の場合、小腸で作られるラクターゼは加齢とともに減っていきます。高校生の頃になると、ラクターゼの量は乳児期の1/10になるといわれています。さらに、乳糖不耐症で悩む人は高齢者に多いというデータもあります。

 

このように、年齢を重ねるほど牛乳でお腹を壊しやすくなるのは、ある意味避けられないことなのです。

 

一方、欧米諸国(特に北欧)においては状況が異なります。

 

科学的に明確な理由は解明されていませんが、白人系の人の場合、年をとっても小腸のラクターゼ活性は高く維持されています。つまり、彼らは牛乳を何杯飲んでも下痢になりにくいのです。

 

このように国や人種によって状況は異なります。そして上述の通り、日本人の場合は加齢とともにラクターゼの働きが弱くなることは異常ではありません。

 

「乳糖不耐症」という名称に物申す

上記のとおり、アジア人は加齢とともに乳糖不耐症になりやすいです。これはアフリカ人や南米人も同じです。つまり、世界中の多くの人々は年をとるごとに乳糖不耐症になりやすくなるのです。

 

そうだとすると、むしろ乳糖不耐症にならない白人系の人たちのほうが少数派なのです。

 

「乳糖不耐症」という名称が当てはめられると、あたかも病気であるかのように感じてしまいます。しかし、むしろ「白人系の人たちのほうが普通ではない」と考えられないでしょうか?

 

実際、「乳糖不耐症」の反対の言葉として、白人系の人たちの状態を表す「ラクターゼ持続症」という言葉があります。

 

ただ、「ラクターゼ持続症」という言葉は「乳糖不耐症」ほど世の中に広まっていません。その理由はわかりませんが、「自分たちこそが正常」と考える欧米人の考えが優先されているのだと思っています。

乳糖不耐症の対処法

個人差はありますが、年をとってもラクターゼの量がゼロになるわけではありません。そのため、健康な人であれば、牛乳をコップ2〜3杯飲むだけでは下痢になりません。

 

一方、極端にラクターゼの量が減ってしまった人の場合は、コップ2〜3杯の牛乳でもお腹をくだしてしまいます。この場合は、食事に注意するようにしましょう。

 

基本的には牛乳などの乳製品を避けましょう。ただ、ヨーグルトのような乳酸菌を含む乳製品であれば、製造過程で乳酸菌のラクターゼによって約30%の乳糖が既に分解されています。そのため、乳酸菌を含む製品は比較的下痢を起こしにくいです

 

なお、乳糖不耐症を根本的に治療するためには小腸におけるラクターゼ分泌量を増やす必要があります。しかし、現時点においてそのような治療法は確立されていません。そのため「牛乳を避ける」という対症療法で対処しましょう。

 

冒頭でも述べたように、大人の場合は乳製品以外からも栄養を摂取できます。そのため、たとえ牛乳で下痢になりやすい体質であったとしてもそれほど深刻に考える必要はないでしょう。

 

上述のとおり、日本人の場合、乳糖不耐症はある意味正常な状態といえます。もし「以前は大丈夫だったのに、最近は牛乳を飲むとお腹をくだす」という症状が現れたときは、加齢によって小腸のラクターゼ量が減っていることを意味します。その場合は牛乳の量を減らすなどして対処しましょう。

 

まとめ

  • 小腸から分泌されるラクターゼの働きが弱くなると、牛乳に含まれる乳糖を分解できなくなる。
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  • 分解されなかった乳糖が大量に大腸に到達することで下痢になる。
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  • 乳糖不耐症による下痢は、オリゴ糖を大量摂取したときに起こる下痢と同じ。
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  • 世界中のほとんどの人は、加齢とともにラクターゼの働きが弱くなる。つまり、乳糖不耐症はある意味老化現象と考えられる。
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  • 下痢になりやすい人は牛乳を飲む量を減らす。
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