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腸内細菌研究者がお届けする『腸』役立つ健康メソッド

食生活を2週間変えれば腸内環境は改善する

食生活を2週間変えれば腸内環境は改善する

腸内環境は、食事や運動などの影響を受けて変化します。特に食事の影響を大きく受けるため、健康を維持するためには、普段から腸内環境に良い食生活を心がけることが重要です。

 

それでは、いったいどのくらいの期間食生活を変えると腸内環境は改善するのでしょうか? 

 

これまでさまざまな研究成果が報告されていますが、私の見解は「2週間」です。今回は、そのような考えに至る根拠となった論文を二つ紹介していきます。

 

肉類はすぐに腸内環境を悪化させる:野菜類はなかなか腸内環境を改善しない

2014年、超一流科学雑誌「Nature」に興味深い論文が掲載されました。それは「動物性食品(肉、卵など)や植物性食品(穀物、野菜など)が腸内フローラにどのような影響を与えるか」を調べたものでした。

 

※ 腸内フローラ:善玉菌、悪玉菌、日和見菌などの腸内細菌全体のバランスのこと

 

研究内容を簡単に紹介します。

  • 研究対象:10名の健康なアメリカ人
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  • 準備期間:研究開始から4日間を準備期間とし、その間は普通の食事を摂ってもらいました。また、毎日「便」を採取しました。
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  • 試験期間:準備期間のあと、5日間は「動物性食品のみ」あるいは「植物性食品のみ」を食べてもらいました。また、毎日「便」を採取しました。
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  • 準備期間と試験期間の「便」を解析して、腸内フローラを比較しました。

 

動物性食品(肉、卵など)は1〜5日で悪玉菌を増やす

試験期間に肉や卵などの動物性食品のみを食べた場合、1〜5日後に腸内の悪玉菌が増加していることが確認されました。

 

特にビロフィラ(Bilophila)と呼ばれる悪玉菌は10倍近く増加していました。この細菌は炎症性腸疾患という病気の発症に関係している細菌です。その他にも、一般的には悪玉菌と考えられているクロストリジウム(Clostridium)という細菌や大腸菌が約5倍に増えていました。

 

一方、ロセブリア(Roseburia)やブラウティア(Blautia)などの善玉菌は約1/8に減少していました。

 

あまり馴染みのない名前の細菌だと思いますが、要は「悪玉菌が増えて善玉菌が減った」と理解してください。

 

ここに紹介した細菌以外にも、多くの細菌が増減していました。もちろん中には、増加した善玉菌がいたり、減少した悪玉菌がいたりします。ただ、腸内細菌全体のバランスで考えると腸内環境は悪化していました。

 

このように、動物性食品(肉、卵など)のみを1〜5日間食べ続けると腸内環境は悪化するということが示されています。

 

植物性食品(穀類、野菜など)を食べても腸内環境改善には5日以上かかる

試験期間に穀類や野菜などの植物性食品のみを食べた場合、腸内細菌の変化はかなり小さいです。

 

上記のビロフィラやクロストリジウムなどの悪玉菌は1/3に減少していました。そのため、なんとなく腸内環境は改善している傾向はありました。

 

しかし動物性食品の場合と比べると、腸内細菌全体のバランスはそれほど変わっていませんでした。そのため、植物性食品による腸内環境の改善には5日間以上かかるといえます。

 

それでは、腸内環境を改善するためにはいったい何日間必要なのでしょうか? その答えを示した研究成果が2015年に一流科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。その研究内容を簡単に紹介していきます。

 

低脂肪・高食物繊維の食事を2週間続けると腸内環境は改善する

  • 研究対象A:米国在住のアフリカ系アメリカ人20名
  • 研究対象B:南アフリカの田舎在住のアフリカ人20名
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  • 準備期間:研究開始から2週間はいつも通りの食事をしてもらいました。つまり、対象Aのアメリカ人は高脂肪・低食物繊維の食事(アメリカ食)です。一方、対象Bのアフリカ人は、低脂肪・高食物繊維の食事(アフリカ食)です。
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  • 試験期間:いつも通りの食事をした準備期間のあと、AとBの食事を入れ替えました。つまり対象Aのアメリカ人はアフリカ食を食べ、対象Bのアフリカ人はアメリカ食を食べました。これを2週間続けました。
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  • 準備期間と試験期間の「便」を解析して、腸内環境の変化を解析しました。

 

参考までにアフリカ食とアメリカ食の例を以下に示します。

腸,腸内細菌,腸内環境,健康

 

対象Aのアメリカ人は、2週間アフリカ食に変更することで、腸内環境が改善しました。

 

具体的には、「悪玉菌であるビロフィラ(Bilophila)やフソバクテリウム(Fusobacterium nucleatum)が減少」、「善玉菌である酪酸菌が増加」、「腸の発癌リスクが低下(=腸の炎症が軽減)」、「腸内環境を整える上で重要な短鎖脂肪酸が約2.5倍に増加」などの変化が確認されました。

 

※ 短鎖脂肪酸:善玉菌が作る「腸に良い物質」です。酢酸や酪酸が該当します。

 

腸内細菌のバランスが変化しただけでなく、腸内環境の改善も確認できているところが興味深いです。つまり食事内容を2週間変えることによって、発癌リスクの指標となる炎症が軽減していたり、短鎖脂肪酸の量が増えたりしているのです。

 

このように、普段は高脂肪・低食物繊維のアメリカ食を食べていた人であっても2週間食生活を変えることで腸内環境が改善します。このような研究成果があったことから、冒頭に示した通り、「腸内環境を改善するには2週間かかる」と述べました。腸内環境を整えたい方は、まずは2週間食生活を変えてみることをおススメします。

 

なお、腸内環境を整える食材としては、ビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルトやぬか漬けなどがあります。またこれらの善玉菌を増やす効果があるオリゴ糖(果物やハチミツなどに含まれる)や食物繊維なども効果的ですので、ぜひ試してみてください。

 

※ 参考文献
Nature, 2014, 505, 559
Nature Comm, 2015, 6, 6342

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