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特定疾患に指定されるクローン病の特徴

特定疾患に指定されるクローン病の特徴

厚生労働省が定める特定疾患(≒難病)に指定される腸疾患として、クローン病という病気があります。この病気は消化管内に炎症が広がるという特徴があるため、炎症性腸疾患(腸の炎症が慢性的に続く病気)の一つに分類されます。

 

※ 炎症性腸疾患にはクローン病の他に潰瘍性大腸炎があります。
※ クローン病は英語で “Crohn’s disease” と表します。そのため、CDと略されることもあります。

 

クローン病は、潰瘍性大腸炎と同じく原因が解明されていない病気です。そのため、完治する治療法は確立されていません。しかし、腸内細菌が病気の発症や症状緩和に関係していることがわかってきています。

 

ここでは、クローン病の特徴と腸内細菌の関与について解説していきます。これらのことを学ぶことで、万一この病気に罹患したとしても、治療上の注意点や医師の治療方針を理解することができます。また、腸内環境を整えることが病気の予防に繋がることも把握できます。

 

患者数が増加しているクローン病

クローン病という名称は、この病気を発見した先生の名前に由来します。1932年、ニューヨークにあるマウント・サイナイ病院に勤める内科医、Burrill Bernad Crohn(ブリル・バーナード・クローン)先生が回腸(小腸の後半部分)に炎症がある症例を発見したことがきっかけです。

 

日本では若者を中心に毎年患者数が増加しています。年間2000〜3000人ずつ罹患者が増えており、2015年には全患者数は4万人を超えました。この傾向は潰瘍性大腸炎と同じで、その背景には食の欧米化が関係していると考えられています。

 

男女における発症比率は約2:1で男性に多い傾向があります。また詳細なメカニズムは不明ですが、喫煙者のほうが非喫煙者より発症しやすいことがわかっています。

 

主な症状として、腹痛、下痢、血便、発熱などが挙げられます。また潰瘍性大腸炎と同じく、消化管に炎症が生じて症状が表れる「活動期」と、炎症が治まって症状もない「寛解期」が繰り返されるという特徴があります。そのため、症状が治まったからといって安心することのできない病気です。

 

クローン病の病変には潰瘍性大腸炎とは異なる特徴がある

消化管内の病変として、炎症や潰瘍(かいよう:消化管の表面を覆っている粘膜が、炎症を起こして剥がれ落ちること)が広がるという特徴があります。

 

この病変の広がり方には以下のような特徴があります。

 

・ 口から肛門まで全消化管に広がることがあります。その中で、最も発生しやすいのが回腸です。

 

・ 病変と病変の間には正常な部分があります。このような特徴を「スキップ病変」といいます。

 

・ 重症化すると、消化管に穴を開けてしまうことがあります。この穴のことを「ろう孔」といいます。また、病変部位が固く縮み、消化管を狭くして通過障害を引き起こすこともあります。この状態を「狭窄(きょうさく)」といいます。

 

このように、クローン病は潰瘍性大腸炎と類似した特徴もありますが、病変が消化管全体に広がること、ろう孔や狭窄が生じる可能性があることを考慮すると、クローン病のほうが重い疾患と考えられます。

 

クローン病と潰瘍性大腸炎の比較を以下に示しておきます。

 

 

クローン病患者における腸内細菌バランスの変化

さまざまな研究から、腸内細菌がクローン病の発症や症状緩和に関与していることが示されています。そして、その内容は潰瘍性大腸炎の場合とほとんど同じです。

 

例えば、クローン病患者では、健康な人と比較して、ファーミキューテス門の腸内細菌が減少し、プロテオバクテリア門の細菌は増加しています。

 

※ 「門」というのは細菌を分類する単位のひとつです。腸内細菌は大きく4つの門、つまりバクテロイデス門、ファーミキューテス門、アクチノバクテリア門、プロテオバクテリア門に分類されます。

 

さらに、患者では保有している腸内細菌の種類が健康な人より少ないという特徴もあります。このことを「患者では腸内細菌の多様性が低下している」と表現します。

 

これらのことから、クローン病の発症には腸内細菌が何らかの影響を及ぼしていることがわかります。

 

また、このような腸内細菌全体の解析だけでなく、個別の腸内細菌に焦点を当て、より詳細な解析を行った研究も複数報告されています。

 

例えば、クローン病患者では、病原性細菌であるヨーネ菌(Mycobacterium paratuberculosis)が増えていることが知られています。その他にも、接着性侵入性大腸菌という種類の大腸菌が増加しています。実際、この大腸菌の活動を抑制するような物質がクローン病治療薬に使えないかと研究している製薬会社もあります。

 

また、クローン病患者では、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)という酪酸菌(腸の中で酪酸という物質を作る善玉菌)が減少していることも知られています。これは潰瘍性大腸炎でも確認されていることです。

 

酪酸は腸管内において、「過剰な免疫反応を抑制する」という重要な働きをします。そのため、この酪酸が減少してしまうと免疫反応が制御されなくなり、必要ない状況でも免疫反応が継続してしまいます。その結果、慢性的な炎症が発生し、症状が現れます。

 

今回述べてきたように、クローン病は潰瘍性大腸炎と非常によく似た疾患です。ただ、病変の特徴など異なる点も複数あります。これらの違いを把握し、病気の特徴を正確に覚えておくことで、医師の説明や治療方針の理解に役立ちます。そうすることによって医師とも良好な関係を築くことができ、スムーズな治療に繋げられます。

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