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急性胃腸炎が過敏性腸症候群(IBS)の原因となることもある

急性胃腸炎が過敏性腸症候群(IBS)の原因となることもある

過敏性腸症候群とは、通常の検査では身体的な異常が見つからないにも関わらず、腹痛や下痢、便秘などの症状が慢性的に続く病気です。

 

日常的なストレスが原因であることが多いため、神経質な人、真面目な人、責任感の強い人が罹患しやすいです。

 

また、ストレス以外のものが原因となる場合もあります。それが今回ご紹介する「感染性腸炎後過敏性腸症候群」と呼ばれるものです。

 

これは、その名の通り、何らかの細菌やウィルスに感染して急性腸炎を発症した後に罹患してしまう過敏性腸症候群のことです。この場合、発症の原因となるのは急性腸炎です。

 

なお、「過敏性腸症候群」も「感染性腸炎後過敏性腸症候群」も名前が長いので、それぞれ IBS PI-IBS と略されることが多いです。このページでもそのように略して記載します。

 

※ IBSは「過敏性腸症候群」を意味する”irritable bowel syndrome”の略、PIは、「感染後」を意味する”post-infectious”の略です。

 

また、どのような場合に罹患しやすいかについても解説していきます。これを把握しておくことで、急性胃腸炎になった場合でも、PI-IBS の発症を防ぐために心がけなければいけないポイントが理解できます。

 

感染性腸炎後過敏性腸症候群(PI-IBS)に罹患する人は意外と多い

食中毒の原因菌として、サルモネラ菌やカンピロバクターと呼ばれるものがあります。サルモネラ菌は加熱不足の鶏卵、カンピロバクターは加熱不足のレバーや鶏肉などを介して感染することがあります。

 

また身近な例として、冬になるとニュースなどで「ノロウィルス」という言葉を聞くことがあります。これは、加熱不足の食品や、感染者の吐瀉物(としゃぶつ:嘔吐や下痢によって体外に排出された消化管内容物)などから感染するウィルスです。

 

このような細菌やウィルスに感染すると、急性胃腸炎を引き起こし、下痢や嘔吐に苦しむことがあります。

 

そして、急性胃腸炎から回復した後に、PI-IBSを発症するケースが多いことがわかっています。

 

例えば、サルモネラ菌による急性胃腸炎に罹患して治った人677名と、急性胃腸炎に罹患していない健康な人1201名を比較した研究があります。この2組のIBS罹患率を比較した結果、なんと前者のほうが7.8倍 IBSにかかりやすいことが分かりました。

 

同様の調査結果は、カナダからも報告されています。2000年、カナダのオンタリオ州で2300人以上の住人が、飲料水への病原菌混入が原因で急性胃腸炎を患いました。その後調査した結果、罹患者の36.2%以上がIBSを発症しました。

 

このように、急性胃腸炎に罹患した場合、その後IBSを発症しやすくなることがわかります。では次に、これを防ぐためのポイントについて述べていきたいと思います。

 

感染性腸炎後過敏性腸症候群(PI-IBS)を防ぐためのポイント

これまでの調査から、PI-IBSを発症しやすい人の特徴がわかってきました。それは、「女性」、「喫煙」、「60歳未満」、「鬱の既往歴」、「心気症(心配性)」などです。これらに当てはまると、PI-IBSにかかりやすくなります。

 

また、「胃腸炎発症時に、鬱などの不安定な精神状態にある」、「胃腸炎に対して抗生物質が使用される」といった場合も、罹患しやすい傾向にあります。

 

一方で、発症率を下げるためのポイントもある程度わかっています。それは「胃腸炎をしっかり治療し、回復後も数日間は胃腸に負担のかからない軽食を続けること」です。というのも、急性胃腸炎から回復した後、すぐに普段の生活に戻ろうとして、普通の食事をとる人にPI-IBS罹患者が多いためです。

 

回復後の食事の摂り方については、医師から指導されることがありますので、指示をしっかり守ることがPI-IBSを防ぐためには大事になります。

 

このように、IBSの原因として精神的ストレスの他に、食中毒などによる急性胃腸炎が挙げられます。そして、急性胃腸炎に罹患すると、約3割以上の人がIBSを発症するという調査結果があります。PI-IBSの発症を防ぐためには、食事の摂り方を注意したり医師の指示にしっかり従ったりすることが重要になります。

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