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便潜血検査の方法と陽性判定が出たときの考え方

便潜血検査の方法と陽性判定が出たときの考え方

人間ドックを受けたことがある人なら「便潜血検査(べんせんけつけんさ)」という言葉を聞いたことがあると思います。

 

便潜血検査とは、便に血液が含まれていないか調べる検査です。この検査を行うことによって、腸をはじめとする消化器の病気を発見できる可能性があります。

 

そこで今回は便潜血検査の方法と検査でわかることについて解説していきます。また、検査で陽性(=便に血が混じっている)と判定された場合の対処方法についても述べていきます。

 

体の不調を早期に発見するためにも、便潜血検査の概要を理解しておきましょう。

 

採便の仕方

医療機関や健診機関から採便キット(容器やブラシがセットになったもの)を受け取るはずです。基本的には添付されている説明書にしたがって採便しましょう。

 

以下、私が使った採便キットについて書いていきます。

 

私が人間ドックを受診した際に受け取ったのは「歯間ブラシのようなブラシ」「保存液の入った容器」「採便用の紙シート」のセットです。イメージとしては下のようなものになります。

 

便潜血検査,採便キット

 

※ 写真を撮り忘れたため、私が人間ドックのときに使った採便キットとは微妙に異なります
※ 写真の採便キットは私が「腸内細菌検査」のときに使ったものです。人間ドックのときもよく似たものを使いました

 

採便方法は以下のような流れになります。

@ 小便を済ませておく
A トイレに紙シートを敷く(洋式トイレでも問題ありません)
B 排便する
C ウォシュレットは使わずにトイレットペーパーでお尻を拭く
D ブラシを取り出して便の表面を3〜4箇所軽くこする
E 保管容器に入れる
F 必要に応じて冷蔵庫に保管する(取り扱い説明書に従ってください)

 

このように採便方法は簡単ですが、いくつか注意点があります。

 

この検査は血液を調べる検査です。したがって、誤って血液が混ざるような採便方法は避けてください。間違ってもブラシを肛門に直接刺してはいけません。また、女性であれば生理期間中の採便は控えましょう。

 

そして、なるべく水と触れていない便を取ってください。便の表面が水に触れてしまうと、血液が流れてしまう可能性があるからです。Cでウォシュレットを使わないのはこのためです。

 

もう一つ大事な注意点があります。それは「人が立ち上がった瞬間に自動で排水するトイレ」があることです。上の手順でいうと、Cが終わって立ち上がった瞬間に便が流れてしまい、Dに進めなくなってしまいます。

 

これは私が実際に体験した失敗例です。採便する前にすべて流れてしまいました。そうならないよう、事前に自動排水するトイレかどうか把握しておきましょう

 

また検査の精度を上げるために、ふつうは2日分の便を取るように指示されます。採便キットも2セット渡されます。1回だと正確な検査結果が出ない可能性があるので、検査機関からの指示に従ってください。

 

採便が完了したら容器ごと検査機関に提出しましょう。そのあとは検査結果が出るまで待つだけです。

 

便潜血検査の方法

ここではどのような検査が行われるか簡単に紹介します。

 

便にたくさんの血が混じっている場合は肉眼で確認できます。ただ、少量しか混じっていない場合は見ただけではわかりません。

 

そこで便潜血検査では、便の中に「ヘモグロビン」という成分が含まれるかどうかを検査します。ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素を運ぶ働きがあります。便の中にヘモグロビンが見つかれば「便潜血 陽性」と判定されることになるのです。

 

ヘモグロビンの検査方法は2通りあります。化学反応や免疫反応を利用する方法です。詳細は省きますが、いずれの検査方法を使っても完璧な精度で検査できるわけではありません

 

食事の影響を受けて「陽性」と判定されてしまうこともあれば、胃や小腸からの出血を見逃してしまうケースもあります。したがって、これらの検査方法の精度を上げるため、現在も診断薬メーカーによって改良がなされています。

 

偽陽性の可能性と大腸がんの可能性

仮に便潜血検査で陽性と判定されたとします。この場合、便に血が混じっていることになります。

 

ただ陽性だからといって、必ずしも何らかの病気にかかっているとは限りません。本当は健康体なのに陽性と判定されることはよくあります。このことを「偽物の陽性」という意味で「偽陽性(ぎようせい)」といいます。

 

では、どれくらいの割合で偽陽性と判定されるのでしょうか?

 

日本大腸肛門病学会によると、陽性と判定された人のうち30〜40%は偽陽性といわれています。つまり、半数近くの人は特に異常がありません。

 

また陽性と判定されたときに「自分は大腸がんではないか」と心配する人も多いです。もちろんその可能性はあります。ただ、過度に心配しすぎる必要はありません。

 

その根拠となるデータとして、日本消化器がん検診学会がまとめている「平成26年度消化器がん検診全国集計」のデータを紹介します。

 

平成26年度のデータによると、陽性と判定されてから精密検査を受けた人は268,661人いました。そのうち大腸がんだった人は10,286人でした。つまり、精密検査を受けた人の約3.8%が大腸がんだったことになります。

 

このように、便潜血で陽性判定だったからといって必ずしも大腸がんというわけではありません。必要以上に心配することなく、落ち着いて精密検査を受けるようにしましょう。

 

便潜血検査で陽性判定が出たときにやるべきこと

便潜血検査で陽性になったときは、必ず精密検査を受けましょう。具体的には大腸内視鏡カメラによる検査を受けてください。

 

上述の通り、大腸がんが見つかる可能性は3%程度と低いです。しかし、炎症性腸疾患などの病気が見つかる可能性もあります。また大腸ポリープが見つかる場合も多いです。

 

最もやってはいけないことは精密検査を受けずに放置してしまうことです。精密検査を受けないのであれば、何のために便潜血検査を行ったのかわかりません。

 

また、もう一度便潜血検査を受ける人もいますが、これもあまり意味がありません。もし二回目の検査で「陰性」と判定された場合、どちらの検査結果を信じるのでしょうか? 「最初の結果は偽陽性で二回目の結果が正しい」と考えるのは都合が良すぎます。

 

たしかに陽性と判定された人のうち約4割は偽陽性です。しかし上述のとおり、まちがって「陰性」と判定されることもあるのです。希望的観測にもとづいて判断せず、自分の健康のためにも必ず精密検査を受けましょう。

 

なお、日本の大腸内視鏡検査のレベルは世界トップクラスです。医師の腕を信じて、精密検査を受けるようにしましょう。

 

ここまで述べてきたように、便潜血検査は決して完璧な検査方法ではありません。しかし、便潜血検査によって大腸がんの発見率は確実に上がっています。現時点において、最も簡単に検査できる方法が便潜血検査なのです。

 

人間ドックなどで検査をする機会があれば、あなたも利用してみると良いでしょう。そしてもし「陽性」と判定された場合は、過度に心配しすぎることなく、落ち着いて精密検査を受けるようにしてください。

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