腸内細菌研究者がお届けする『腸』役立つ健康メソッド

肥満による肝臓がんの発症促進には腸内細菌が関係している

肥満による肝臓がんの発症促進には腸内細菌が関係している

肥満になると糖尿病や心筋梗塞、がんなどのさまざまな病気の発症率が上がります。ただ、肥満によるこれらの病気の発症メカニズムは不明な点もたくさんあります。

 

一方、「肥満による肝臓がんの発症」には腸内細菌が関与することが明らかにされています。腸内細菌研究者を驚かせたこの研究成果は、2013年に超一流科学雑誌「Nature」に掲載されました。研究成果を発表したのは原英二先生や大谷直子先生(発表当時の所属は公益財団法人がん研究会)らを中心とした日本人チームでした。

 

そこで今回はこの研究成果をもとに、肥満・腸内細菌・肝臓がんの関係について解説していきます。また、肝臓がんの発症を予防するために、どのような食事を心がける必要があるかも述べていきます。肝臓がんだけではなく大腸がんの発症予防にも繋がるので、ぜひ内容を理解するようにしてください。

 

肝臓がんの主な原因

まず初めに、肝臓がんの主な原因について説明していきます。

 

肝臓がんの原因の一つとして挙げられるのが、B型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスの感染です。また過剰なアルコール摂取に伴う肝炎も原因になります。私の祖父は肝臓がんで亡くなりましたが、過剰なアルコール摂取が原因だったようです。

 

その他の原因として、ピーナッツなどに生えるカビの摂取があります。ナッツ類には、強力な発がん物質(アフラトキシンといいます)を作るカビが生えることがあるためです。そのため、カビの生えたナッツ類を食べるのは絶対に避けてください。

 

そして、今回紹介する「肥満」も肝臓がんの原因になり得ます。肥満による肝臓がんの発症には腸内細菌が関わっています。腸内細菌と肝臓にどのような関係があるのか疑問に思う人もいるかもしれませんが、その関係性について以下に述べていきます。

 

腸内細菌は肝臓がんの原因物質の一つ「デオキシコール酸」を作る

デオキシコール酸という物質を聞いたことがあるでしょうか? これは悪玉菌が私たちの体内で作る発がん促進物質です。

 

※ 発がん促進物質:単独では発がん作用がありません。しかし、他の発がん物質が共存すると、その発がん作用を増強させます。「発がんプロモーター」と呼ばることもあります。

 

肥満による肝臓がんの発症にはデオキシコール酸が関わっています。そのメカニズムを簡単にまとめると以下のようになります。

 

@ 太るとデオキシコール酸を作る悪玉菌が増える
A デオキシコール酸が腸から吸収される
B デオキシコール酸が肝臓に届けられ、肝臓がんの発症頻度が上がる

 

順に解説していきます。

 

@ 太るとデオキシコール酸を作る悪玉菌が増える

デオキシコール酸を作る悪玉菌は主にクロストリジウム(Clostridium)と呼ばれる腸内細菌です。特に、肥満になるとクロストリジウム・アリアケ(Clostridium Ariake)という悪玉菌が増えます。実際、この細菌が多い人は血液中のデオキシコール酸の濃度が高くなることが示されています。

 

また、上記の超一流科学雑誌「Nature」で発表された論文では、太ったマウスと普通のマウスの比較が行われています。両者の腸内細菌バランスを比較したところ、太ったマウスでは、デオキシコール酸を作るクロストリジウムが普通のマウスの約2倍に増加していました。そして、血液中のデオキシコール酸の濃度は約3倍になっていました。

 

このように、肥満になると腸内環境が悪化してデオキシコール酸がたくさん作られるようになってしまうのです。

 

A デオキシコール酸が腸から吸収される
B デオキシコール酸が肝臓に届けられ、肝臓がんの発症頻度が上がる

AとBはまとめて解説します。
悪玉菌によって腸内で作られたデオキシコール酸は他の栄養成分と同じように腸から吸収されます。

 

腸から吸収された栄養成分などは門脈(腸と肝臓をつなぐ血管)を通って肝臓に運ばれます。これを「腸肝循環」といいます。

 

デオキシコール酸も他の栄養成分と同じように肝臓へ運ばれます。そのため、肝臓は他の臓器よりもデオキシコール酸の影響を受けやすいのです。

 

ここまで述べてきたように、肥満の人では痩せている人よりも多くのデオキシコール酸が肝臓に届けられます。その結果、肝臓がんの発症頻度が上がってしまうのです。

 

それでは最後に、このメカニズムを踏まえた上で肝臓がんを予防するための食事について述べていきます。

 

肥満に伴う肝臓がんの発症を予防する食事

肥満に伴う肝臓がんの発症を防ぐためには、できるだけデオキシコール酸が作られないようにすることが大切です。

 

そのためには、「デオキシコール酸の原料となる物質を減らすこと」と「デオキシコール酸を作る悪玉菌を増やさないこと」が重要になります。

 

デオキシコール酸の原料となる物質は胆汁に含まれます。胆汁というのは、脂肪を消化・吸収するために十二指腸に分泌される消化液です。

 

当然、脂肪の摂取量が多いと、胆汁の分泌量も増えます。つまりデオキシコール酸の原料となる物質がたくさん分泌されるのです。その結果、デオキシコール酸がたくさん作られるようになるため、まずは脂肪の摂取量を減らすことが重要です。

 

また、タンパク質の摂りすぎはクロストリジウムを増やすことに繋がります。したがって、脂肪だけではなくタンパク質の摂りすぎにも注意が必要です。

 

このように、高脂肪・高タンパク質の食事を控えることで、デオキシコール酸が作られる量を減らすことができるのです。

 

ただ、気にするあまりストレスを感じるのもよくありません。あくまで「過剰摂取を控える」という認識で構いません。私もとんかつや唐揚げは好きですし、我慢して食べないというようなことはしません。普段からヨーグルトや食物繊維、場合によってはサプリメントを利用するなどして腸内環境を整えておけば、問題ないのです。

 

※ 今回紹介したデオキシコール酸は肝臓がんだけではなく大腸がんの原因にもなります。そのため、高脂肪・高タンパク質の食事を控えることは、大腸がんの予防にも繋がります。

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