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腸内細菌研究者がお届けする『腸』役立つ健康メソッド

抗生物質は腸内環境を乱して喘息を引き起こす可能性がある

抗生物質は腸内環境を乱して喘息を引き起こす可能性がある

腸内細菌はお腹の中でさまざまな物質を作っています。それらの物質は血流を介して全身を巡るため、腸内細菌は体全体の健康状態に影響します。

 

そのため、腸内環境の悪化がさまざまな疾患の原因になることがあります。

 

例えば、動脈硬化や心血管(心臓の血管)の障害、肝臓がん、自閉症、腎疾患、肥満症などは、腸内環境との関連が指摘されている疾患です。

 

そして今回紹介する「喘息」についても、腸内細菌の関与が指摘されています。

 

喘息が発症する原因として、これまでは遺伝的要因や環境要因などのさまざまな要因が挙げられていました。そして新たに、「腸内細菌が喘息の発症に関与している」ということが、国内外の研究チームによって明らかにされてきました。

 

2014年には、「抗生物質による腸内細菌バランスの悪化が喘息発症に関係する」ということが示されました。このことを示したのは筑波大学・渋谷彰先生らの研究チームです。そしてその研究成果は、一流科学雑誌「Cell Host & Microbe」に掲載されました。

 

腸内細菌と喘息との関係を示した興味深い論文でしたので、ここで内容を紹介します。

 

※ 参考文献:Cell Host & Microbe, 2014, 15, 95

 

抗生物質は一時的に腸内細菌バランスを乱す

抗生物質とは、さまざまな細菌を殺す物質のことです。抗生物質を服用すると、当然腸内細菌も殺菌されてしまいます。ただ、中には抗生物質で死なない細菌や真菌(カビのこと)も存在します。

 

そして生き残った菌だけが増殖するため、抗生物質を飲むと腸内細菌バランスが一時的に崩れることになります(普通はしばらくすると元の腸内細菌バランスに戻ります)。

 

抗生物質による腸内細菌バランスの悪化は、さまざまな疾患に関与することが疑われています。喘息もそのうちの一つです。

 

そこで筑波大学の研究チームは、「抗生物質による腸内細菌バランスの乱れが喘息の発症に影響するか」を調べました。そして、マウスを用いた実験から、さまざまことを明らかにしました。

 

以下に筑波大学の研究成果を述べていきます。

 

抗生物質は腸内細菌バランスを乱して喘息を引き起こす

筑波大学の研究によって以下のことが明らかになりました。

@ クリンダマイシンとセフォペラゾンという抗生物質を飲んだマウスでは腸内細菌バランスが大きく崩れていました。そして、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)というカンジダ菌(真菌の一種)の割合が大きく増えていました。

 

A 増殖したカンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)は、盲腸の粘膜にまで侵入していました。

 

B カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)は盲腸内でプロスタグランジンE2という物質を作っていました。そのため、抗生物質を飲んだマウスでは、血液中のプロスタグランジンE2の濃度が約2倍に増えていました。

 

C プロスタグランジンE2は血液中でマウスのマクロファージに作用して、M2マクロファージというタイプに変換していました。

 

D M2マクロファージの増加に伴って、肺の気管支において「好酸球」という白血球の一種が増えていました。

 

難しい用語がいくつか出てきましたが、その内容も含めて順に解説していきます。

 

@ クリンダマイシンは「細菌のタンパク質合成を阻害する」というタイプの抗生物質です。ニキビの薬としても処方される場合があります。また、セフォペラゾンは「細菌の細胞壁合成を阻害する」というタイプの抗生物質です。この二つの抗生物質を同時に飲むことで、かなり多くの腸内細菌が殺菌されます。

 

A マウスは人と違って盲腸がかなり発達しています。そのため、ほとんどの腸内細菌は盲腸にいます。また、腸粘膜下には血管が張り巡らされているため、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)が作り出した物質はすぐに血流を介して全身を巡ることになります。

 

B プロスタグランジンとは体内で作られる生理活性物質(体の調子を制御する物質)です。この物質には、血圧低下作用、睡眠誘発作用などのさまざまな作用があります。プロスタグランジンE2もその一種です。

 

C マクロファージとは体内に侵入してきた異物(ウィルスや病原菌など)を食べる細胞です。つまりマクロファージは体の防御機構に極めて重要な細胞です。そしてM2マクロファージは、マクロファージの中でも特に寄生虫に対する防御機構、アレルギー反応、傷の自然治癒などに関わっています。

 

D 好酸球は白血球の一種です。寄生虫に感染したり、花粉やダニなどのアレルギーの原因物質が体内に侵入したりすると、血液中で活発に活動します。好酸球は気管支に炎症を起こすため、喘息の発症に深く関わっています。

 

以上の結果をまとめると、抗生物質を飲んだマウスでは、「腸内細菌バランスの悪化 → カンジダ菌の異常増殖 → 血中プロスタグランジンE2濃度の上昇 → M2マクロファージの増加 → 好酸球の増加」ということが起こっていました。

 

つまり、抗生物質による腸内細菌バランスの悪化は、好酸球を活発化させ、喘息を発症させることが示されたのです。

 

ただ、論文中では「すべてのマウスでこの現象が起こったわけではない」と記載されています。つまり、個体差(体質の違い)が影響していると考えられます。

 

また今回の結果はあくまでマウスを用いた動物実験の結果です。人にも同じことが当てはまるか今後さらなる検証が必要です。

 

このように、解明しなければならないことはまだあります。ただ、腸内細菌バランスの乱れが喘息発症の一因になっている可能性は確かにあります。そのため、腸内環境を整えておくことが、喘息の予防に繋がります。

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