腸内細菌研究者がお届けする『腸』役立つ健康メソッド

赤ちゃんの腸内細菌と食生活の影響

赤ちゃんの腸内細菌と食生活の影響

私たち成人のお腹には、500〜1000種類、数にして100兆個以上、重さにして1〜1.5kgの腸内細菌がいると言われています。生まれたばかりの赤ちゃんの場合、数はこれほど多くはないですが、それでもお腹の中には腸内細菌が定着しています。では、いったいこの腸内細菌はどこからやってくるのでしょうか?

 

実は腸内細菌は「母から子への贈り物」と言われています。つまり、赤ちゃんは母親から腸内細菌を譲り受けているのです。

 

妊娠中の女性にとっては驚かれる内容かもしれませんが、これは事実です。そのため、妊娠中は妊婦自身の腸内環境を整えるような食事をすることも重要なのです。

 

ただし、赤ちゃんはお母さんの腸内細菌を譲り受けるからといって、そのまま一生過ごすわけではありません。実際、私と私の母親の腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:腸内細菌全体のバランスのこと。腸内フローラともいう)は大きく異なるはずです。

 

なぜなら、母親から譲り受けた腸内細菌叢を基礎にしつつも、その後の食生活によって腸内細菌叢は柔軟に変化することが示されているからです。

 

このように、妊娠中は腸内環境を整えるような食事をすることが重要になります。また、たとえ母親の腸内細菌バランスが悪かったとしても、乳幼児期以降の食事次第で子供の腸内細菌叢を整えることはできます。これらについて理解することは、私たちの子供や私たち自身の腸内環境を整える上で大事になりますので、この機会に理解を深めていきましょう。

 

自然分娩と帝王切開

通常、胎児は細菌にさらされていない無菌状態にあります。当然腸内細菌もいません。

 

では、どこで腸内細菌を譲り受けるのでしょうか?

 

出産の際、産道を通る過程で、産道に付着している母親の腸内細菌に接触すると言われています。また出産の際には脱糞してしまう母親も少なくないため、母親の便にまみれて生まれる赤ちゃんもしばしばいます。そうではなくても肛門の近くから生まれてくるため、生まれる瞬間に母親の腸内細菌を譲り受けるのです。

 

では帝王切開で生まれる場合はどうでしょうか?

 

実は、帝王切開で生まれた赤ちゃんの場合、医師や助産師などの皮膚に付着している細菌が腸内細菌として見つかります。その後、母乳やミルクを介して腸内細菌叢が整えられていくのですが、出産直後の腸内細菌叢は、自然分娩の場合とは大きく異なります。

 

ここで一つ気になる論文を紹介したいと思います。それは「帝王切開で生まれた子供は、自然分娩で生まれた子供よりも、喘息や炎症性腸疾患などに罹患する割合が高い」という論文です。この論文は、2015年に科学雑誌「Pediatrics」に掲載されました。

 

この詳細な理由は解明されていません。しかし、腸内細菌が関係しているのではないかと考える研究者もいます。もし腸内細菌叢の変化が原因であるなら、これを健全に整えることがこれらの疾患予防に繋がります。

 

そのため、赤ちゃんにはしっかりと母乳を飲んでもらう必要があります。なぜなら、母乳にはビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖が豊富に含まれており、これを飲むことで腸内細菌バランスが整えられるからです。

 

また、粉ミルクの場合は、赤ちゃん用のオリゴ糖(余計な甘味料が含まれていないもの)をほんの少し混ぜてあげるとよいです。なぜなら、粉ミルクを飲む赤ちゃんの場合、母乳を飲む赤ちゃんと比べてビフィズス菌の割合が減少する傾向にあるからです。

 

いずれにしても、妊娠中の食生活が赤ちゃんに影響を及ぼすのは事実です。ミネラルや葉酸を積極的に摂取する妊婦さんも多いと思いますが、その際には、食物繊維やオリゴ糖などを一緒に摂取し、腸内環境を整えることも心がけてみてください。

 

腸内細菌叢は食事によって変化する

腸内細菌と肥満に関する研究において、数々の論文を一流科学雑誌に投稿しているジェフリー・ゴードンという先生がいます。そのゴードン先生の非常に興味深い実験があります。

 

ゴードン先生は、「母親は肥満。子供は25歳以上の双子で一方は肥満、もう一方は痩せている」という親子を集めて腸内細菌叢を解析しました。

 

その結果、「肥満の子供の腸内細菌叢は母親の腸内細菌叢と類似していたが、痩せた子供の腸内細菌叢は母親とは異なっていた」ということが判明したのです。

 

この双子の出生直後の腸内細菌叢はかなり類似していたはずです。しかし、その後の食生活によって二人の腸内細菌叢は大きく異なるものに変化したのです。

 

つまり、「たとえ遺伝的背景や出生直後の腸内細菌叢が類似していたとしても、食事によって腸内細菌叢は変化する」ということがこの実験で示されたのです。

 

母親が太っていたり、家系的に肥満体質だったりしているからといって、自分も太るとは限らないのです。食事の内容を工夫し、腸内細菌叢を整えることで、肥満をコントロールできる可能性があるのです。逆も同じで、母親が痩せているからと言って、自分も痩せるとは限りません。

 

このように、腸内細菌は「母親から譲り受ける」という意味では、遺伝子と同じと考えることができます。しかし遺伝子と違って、日々の生活の中で、良くも悪くも変化するという性質を持っています。そのため、腸内環境を健康に保つ上では、遺伝的背景よりも日々の生活習慣のほうが重要だといえます。

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