腸内細菌研究者がお届けする『腸』役立つ健康メソッド

肥満型と痩せ型の腸内細菌バランス

肥満型と痩せ型の腸内細菌バランス

腸内細菌は腸の中で、さまざまな物質を産生しています。例えば、酢酸や酪酸などの体に良い物質は善玉菌によって作られます。一方、硫化水素やインドールといった体に悪いものは悪玉菌によって作られます。

 

これらの物質は腸の中で働くだけでなく、腸壁から血液中に移り、全身をかけ巡ります。そのため、腸内細菌は体全体の調子に影響しています。

 

今回取り上げる「肥満」も例外ではありません。実は、腸内細菌が肥満に関係しているということは既に証明されています。

 

「腸内細菌が肥満に関係する」と聞いて、驚かれる方も多いと思います。しかしこれは事実です。このことを証明したのは、腸内細菌と肥満の研究で著名な、ワシントン大学ジェフリー・ゴードン先生でした。

 

そして、その研究成果は、2006年に最も権威ある科学雑誌「Nature」に掲載され、多くの腸内細菌研究者を驚かせました。

 

このような腸内細菌と肥満との関係を把握することにより、肥満の予防・解消のポイントを理解できます。そのことは適切な体重コントロールや生活習慣病の予防にも繋がります。まずは、腸内細菌が肥満にどう関係しているか理解していきましょう。

 

「肥満型」と「やせ型」に特徴的な腸内細菌叢

まず初めに、腸内細菌の分類について簡単に解説したいと思います。

 

腸内細菌は、バクテロイデス門、ファーミキューテス門、アクチノバクテリア門、プロテオバクテリア門という大きく4つの門に分類することができます。

 

※「門」というのは細菌を分類する単位のひとつです。日本が47都道府県に分類されるのと同じように、腸内細菌は大きく4つの門に分類されます。

 

ゴードン先生は、肥満のマウスと痩せているマウスの腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:腸内細菌全体のバランスのこと。腸内フローラともいう。)を解析しました。その結果、肥満マウスにはファーミキューテス門の細菌が多く、痩せているマウスにはバクテロイデス門の細菌が多いことが分かりました。

 

そして、この結果は人の場合でも同じでした。つまり、太っている人の腸内細菌にはファーミキューテス門の細菌が多かったのです。

 

興味深いことに、肥満の人が一年間ダイエットした場合、バクテロイデス門の細菌が増加しました。つまり、痩せ型の腸内細菌バランスに近づいたのです。

 

これらのことから、なんとなく「肥満型=ファーミキューテス門の細菌が多い」「痩せ型=バクテロイデス門の細菌が多い」ということが理解できると思います。

 

ではファーミキューテス門の細菌が多いとなぜ肥満型になるのでしょうか? これについても、ゴードン先生は一つの答えを導き出しました。それは、「肥満マウスの腸内には、普通は消化されにくい多糖類を消化分解する腸内細菌がいる」ということです。

 

多糖類というのは、ブドウ糖などの糖が複数つながった栄養成分です。食物繊維も多糖類の一種です。この多糖類は、お腹の中で消化されなければ、そのまま便として排泄されます。

 

ところが、肥満型マウスでは、腸内細菌によって多糖類が分解されてしまいます。すると、分解で生じたブドウ糖が、エネルギー源としてマウスの体内に吸収されることになります。吸収された糖は、運動などで消費されなければ脂肪に変換され、体内に蓄積します。

 

このように、肥満型マウスには、難消化性の成分まで消化できてしまう腸内細菌がいます。その結果、痩せ型マウスと比較して、より多くの糖が体内に取り入れられ、肥満になってしまうのです。

 

そして、ゴードン先生はさらにすごい実験結果を示しています。それは「腸内細菌が移ると肥満も移る」ということです。そのことについて、以下に解説したいと思います。

 

腸内細菌が移ると肥満も移る

腸内細菌に関する研究では、無菌マウスという特殊なマウスが使われることがあります。その名の通り、体のどこにも細菌がいないマウスです。

 

※ 無菌マウス: 胎児は無菌状態なので、帝王切開で生まれた赤ちゃんマウスを出産と同時にクリーンボックス内に移せば、無菌マウスとなります。

 

この無菌マウスに肥満マウスと痩せマウスの腸内細菌を移植しました。その結果、なんと肥満マウスの腸内細菌を移植されたマウスが太ったのです。具体的には、痩せマウスの腸内細菌を移植した場合と比べて、約2倍の脂肪が蓄積していることが確認されました。

 

このように、肥満型の腸内細菌というのは確実に存在します。人の場合、同じものを食べても太る人と太らない人がいますが、この違いの原因は実は腸内細菌にあるのかもしれません。

 

そして、ダイエットや生活習慣病予防のためには、肥満型の腸内細菌バランスを避けなければならないということもある程度理解できます。

 

ただ、現状では、肥満に関与する腸内細菌だけを狙って減らすことはできません。そのため、普段の食生活を見直し、良好な腸内環境を維持することを心がける必要があります。そうすることによって、肥満を予防したり克服したりできる可能性が高まります。

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