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高齢者の便秘:原因・注意点・対処法

高齢者の便秘:原因・注意点・対処法

高齢者の便秘:原因・注意点・対処法

この記事のポイント

 

一般的に、便秘は女性に多いイメージがあります。女性はダイエットをして食べる量を減らしたり、女性ホルモンの影響があったりするため、男性に比べて便秘になりやすいのです。

 

しかし、60歳以降になると便秘に悩む男性が増えてきます。年齢を重ねるほど、性別に関係なく便秘の人が増えてくるのです。

 

そこで今回は、「高齢者が便秘になりやすい理由」「高齢者の便秘の注意点」「高齢者の便秘解消法」について解説していきます。若い人との違いを理解して、早く便秘を解消するようにしましょう。

 

 

60歳を超えると男女ともに便秘が増える

厚生労働省は定期的に「国民生活基礎調査」という調査を行っています。平成28年の調査結果をもとに、便秘に悩む人の割合をグラフ化すると以下のようになります。

 

便秘に悩んでいる人の割合

(平成28年 厚生労働省 国民生活基礎調査のデータよりグラフを作成)

 

青が男性、オレンジが女性を表しています。50代までは、あきらかに女性の便秘が多いです。しかし、60歳を超えたあたりから男性の便秘が増えていることがわかります。

 

また、性別に関係なく、年齢を重ねるにつれて便秘の人が増えています。それでは、なぜ年をとると便秘の人が増えるのでしょうか? その理由について次の項目で解説していきます。

 

高齢者が便秘になりやすい3つの理由

高齢者が便秘になりやすい理由は主に3つあります。「腸内環境の悪化」「筋力の低下」「食事量の減少」です。それぞれ順に説明していきます。

 

■ 腸内環境の悪化
高齢になると腸内環境が悪くなってきます。具体的には、ビフィズス菌などの善玉菌が減って、大腸菌などの悪玉菌が増えるのです。特に50歳を過ぎる頃からその変化は現れてきます。腸内環境の悪化はスムーズな排泄を妨げるため、便秘になりやすくなるのです。

 

年を取ると腸内環境が悪化する

 

■ 筋力の低下
年を取るとどうしても筋力が低下します。それは腸の筋肉も同じです。腸のぜん動運動(食べた物を肛門方向へと移動させる収縮運動)は、腸の筋肉が行っています。そのため、腸の筋肉が衰えるとぜん動運動も弱くなり、便秘になってしまうのです。

 

年を取ると筋力が落ちる

 

■ 食事量の減少
年を取ると、若い頃に比べて食べる量が減ります。そして、食事の量が減ると腸への刺激が小さくなるため、ぜん動運動も弱くなってしまいます。これは女性に多い「ダイエットによる便秘」と同じ原理です。

 

年を取ると食べる量が減る

 

このように、「腸内環境の悪化」「筋力の低下」「食事量の減少」などの要因があるため、高齢になるとどうしても便秘になりやすいのです。そして、高齢者の便秘にはいくつか注意すべきことがあります。以下の項目では、その注意点について述べていきます。

 

高齢者の便秘における3つの注意点

高齢者の場合、「トイレでいきみすぎない」「下剤を使いすぎない」「隠れている病気を見過ごさない」という3つの点に注意する必要があります。これらの注意点について、それぞれ解説していきます。

 

■ 注意点@ トイレでいきみすぎない
いきなりですが、「トイレやお風呂で、脳卒中や心臓発作などで倒れる高齢者が多い」ということを知っているでしょうか?

 

特に冬場のトイレとお風呂は要注意です。暖かい部屋から寒い場所に行くと、冷気によって血管が収縮して血圧が上がります。血圧が急に上がると血管への負担が大きくなるため、脳卒中などの血管系の病気が発症してしまうのです。

 

冬場のトイレやお風呂に注意

 

ここまで読むと、トイレでいきみすぎるのが良くないことも理解できると思います。トイレでいきみすぎると、血圧が上がってしまうのです。普段から血圧が高めの人は、脳卒中や心筋梗塞などのリスクがあることを覚えておきましょう。

 

また当然ですが、いきみすぎると「痔」になる可能性も高くなります。痔は若者に多いですが、高齢者においても注意が必要です。

 

トイレでいきみすぎるとさまざまなリスクあり

 

■ 注意点A 下剤を使いすぎない
以前、便秘に悩む60歳代の女性と話したことがあります。彼女は毎日のように市販の下剤を飲んでいました。また、彼女は老人ホームで働いていたのですが、そのような施設では下剤が使われることがよくあるそうです。

 

しかし、正直なところ、下剤の使い過ぎはよくありません。彼女にもそのように率直に伝えました。特に、センナ(センノシド)、ダイオウ、アロエなどの成分が入った下剤には注意が必要です。

 

結腸刺激性下剤の例

 

センナ(センノシド)、ダイオウ、アロエなどの成分が入った下剤は専門用語で「結腸刺激性下剤」と呼ばれます。

 

結腸刺激性下剤は、「使っていると腸が刺激に慣れてきて、通常の量では効かなくなる」「大腸の粘膜に黒いシミができる」などの弊害があるのです。

 

そのため、下剤を使う際は、せめて「結腸刺激性下剤」を避けて別の種類の下剤を使うようにしましょう。例えば、酸化マグネシウムやラクチュロース(オリゴ糖の一種)が有効成分に使われている下剤がおススメです。

 

塩類下剤の例

 

※ 腎機能が低下している人の場合は、酸化マグネシウムを飲むと副作用のリスクがあります。そのため、下剤を選ぶ際は医師や薬剤師に相談するようにしてください。

 

■ 注意点B 隠れている病気を見過ごさない
高齢者の場合、便秘の背景に何らかの病気が隠れていることがあります。例えば、「ポリープ」や「がん」が原因で便秘になることがあります。また、「糖尿病」や「パーキンソン病」なども便秘を引き起こします。

 

そのため、「突然便秘になって改善する気配がない」「便に血が混じる」「発熱や嘔吐などの症状がある」などの場合は、医療機関に相談するようにしてください。

 

便秘を引き起こす病気の例

 

高齢者の便秘解消法

高齢者の便秘対策は、基本的には若者の便秘対策に似ています。ただ、高齢者特有の原因(腸内環境の悪化、筋力の低下、食事量の減少)があるため、それに応じた対策をとる必要があります。

 

それぞれの原因に対する対処法を順に紹介します。

 

■「腸内環境の悪化」の対処法
腸内環境を改善するために、納豆、ぬか漬け、ヨーグルトなどの発酵食品を積極的に食べましょう。そうすることで、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を取り入れることができます。

 

また、これらの善玉菌のエサとなる「オリゴ糖」が豊富な食材も意識して食べましょう。具体的にはタマネギ、ゴボウ、アスパラガスなどの野菜、りんごやバナナなどのフルーツが該当します。

 

腸内環境によい食材の例(善玉菌、オリゴ糖)

 

また、必要に応じて、乳酸菌やビフィズス菌が含まれるサプリメントを利用するとよいでしょう。

 

■「筋力の低下」の対処法
適度な運動を生活の中に取り入れましょう。特に激しい運動をする必要はありません。ウォーキングや軽い体操を習慣的に実施すると良いでしょう。また、腹筋運動のような下腹部に負荷のかかる運動も効果的です。

 

■「食事量の減少」の対処法
若いころに比べて食べる量が減ったからといって、無理にたくさん食べる必要はありません。大事なのは、少量でも便秘になりにくい栄養素、つまり食物繊維を意識して摂取することです。

 

食物繊維というと、野菜やイモ類、きのこなどをイメージすると思います。ただ、それだけでなく海藻やらっきょう、納豆なども普段の献立に加えましょう。そうすることで、便を柔らかくする食物繊維(水溶性食物繊維といいます)を摂取することができるのです。

 

水溶性食物繊維が豊富な食材の例

 

まとめ

  • 性別に関係なく、年を取ると便秘に悩む人が増えてくる。
  • 高齢者が便秘になる主な原因は、「腸内環境の悪化」「筋力の低下」「食事量の減少」である。
  • 高齢者の場合、「トイレでいきみすぎない」「下剤を使いすぎない」「隠れている病気を見過ごさない」の3つの点に注意したほうがよい。

 

今回は、高齢者の便秘について詳しく解説してきました。高齢者の便秘にはさまざまな特徴があるため、若者とは違った視点が必要になります。「自分は高齢だから仕方ない」と諦めて放置せずに、今回の内容を便秘解消に役立ててみてください。

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