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肥満の原因は「腸内細菌」である

肥満の原因は「腸内細菌」である

肥満の原因は「腸内細菌」である

この記事のポイント

 

腸内細菌は腸の中で、さまざまな物質を作っています。例えば、酢酸や酪酸などの体によい物質は善玉菌によって作られます。一方、硫化水素やインドールなどの体に悪い物質は悪玉菌によって作られます。

 

これらの物質は腸の中だけでなく、腸から吸収されて全身をかけ巡るため、腸内細菌は体全体の調子に影響しています

 

今回のテーマである「肥満」も例外ではありません。腸内細菌と肥満には密接な関係があるのです。

 

そこで今回は、「腸内細菌と肥満の関係」について解説していきます。肥満の予防・解消の鍵は腸内細菌が握っていることを理解できると思います。

 

 

腸内細菌の分類と肥満との関係

私たちのお腹の中には100兆個以上もの腸内細菌がいます。それらの腸内細菌は大きく4つのグループに分類することができます。少し専門的ですが、「バクテロイデス」「ファーミキューテス」「プロテオバクテリア」「アクチノバクテリア」の4グループです。

 

※ 1億人以上の日本人を「血液型がA型の人」「B型の人」「O型の人」「AB型の人」の4つのグループに分類するようなイメージです。

 

腸内細菌の「門」レベルでの分類

 

この4グループのうち、バクテロイデス(やせ菌)とファーミキューテス(デブ菌)のバランスが肥満に関係することが明らかになりました。

 

このことを明らかにしたのは、ノーベル賞候補にも挙げられているワシントン大学のジェフリー・ゴードン教授です。

 

ここでは、多くの研究者を驚かせたゴードン教授の論文の内容を紹介します。(参考文献:Nature, 2006, Vol.444, p.1027

 

「肥満型」と「やせ型」の腸内フローラ

ゴードン教授は、太っている人と痩せている人の腸内フローラ(腸内細菌全体のこと)を解析しました。その結果、太っている人にはファーミキューテス(デブ菌)が多く、やせている人にはバクテロイデス(やせ菌)が多いことがわかりました。

 

肥満型とやせ型の腸内フローラ

 

興味深いことに、太っている人が一年間ダイエットした場合、やせ菌が増えてデブ菌が減りました。つまり、やせ型の腸内細菌バランスに近づいたのです。

 

以上の結果から、「肥満型=ファーミキューテス(デブ菌)が多い」「やせ型=バクテロイデス(やせ菌)が多い」ということがわかると思います。

 

デブ菌は食物繊維などをエネルギーに変える

それでは、なぜデブ菌が多いと肥満になるのでしょうか? この疑問について、ゴードン教授は一つの答えを導き出しました。

 

その答えは、「デブ菌は消化されにくい多糖類を分解してエネルギーに変えているため、デブ菌が多い人はエネルギー摂取量(=カロリー摂取量)が多くなる」ということです。

 

多糖類というのは、ブドウ糖などの糖が複数つながった栄養成分です。食物繊維も多糖類の一種です。食物繊維類は消化(分解)されなければ、そのまま便として排泄されます。

 

ところが、デブ菌は食物繊維などの多糖類を分解してしまうのです。すると、分解されて生じたブドウ糖が、エネルギー源として体内に吸収されることになります。

 

ファーミキューテスが難消化性の多糖類を分解

 

このように、デブ菌は本来排泄されるはずの難消化性の成分まで分解してエネルギー源に変えてしまいます。そのため、デブ菌が多い「肥満型」の腸内フローラの人は、太りやすくなってしまうのです。

 

腸内細菌が移ると肥満体質も移る

ゴードン教授はさらにすごい研究成果を発表しています。それは「腸内細菌が移ると肥満体質も移る」ということです。

 

ゴードン教授は無菌マウス(体のどこにも細菌がいないマウス)の腸の中に肥満マウスとやせマウスの腸内細菌を移植しました。

 

すると、なんと肥満マウスの腸内細菌を移植されたマウスが太ったのです。具体的には、やせマウスの腸内細菌を移植した場合と比べて、体の脂肪分が約2倍増えました。

 

腸内細菌が移ると肥満も移る

 

この研究結果から、「腸内細菌が肥満の原因である」ということが明らかになりました。ゴードン先生の研究成果はとても衝撃的だったので、多くの腸内細菌研究者を驚かせました。

 

その後も、この分野の研究は世界中で進められています。そのため、研究者の間では「そのうち、女優やモデルの腸内フローラセットなどが販売される日が来るのでは?」という笑い話もささやかれています。

まとめ

  • 太っている人の腸の中にはデブ菌が多い。一方、やせている人の腸の中にはやせ菌が多い。
  • デブ菌は食物繊維などの難消化性の成分を分解してエネルギー源に変えている。そのため、デブ菌が多い人は太りやすくなってしまう。
  • 肥満の原因の一つは「腸内細菌」である。

 

今回は、肥満と腸内細菌の関係について解説してきました。 「腸内細菌が肥満に関係する」と聞いて驚いた人も多いと思います。

 

世の中には、太りやすい体質の人もいれば、何を食べても太らない人がいます。この違いの原因は腸内細菌にあると考える研究者も少なくありません。

 

そのため、肥満の予防やダイエットには腸内環境を整えることがとても重要です。そうしなければ、一度やせてもリバウンドしやすくなってしまうからです。正しくダイエットするためには、普段の食生活を見直し、良好な腸内環境を維持することが大切なのです。

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