ページTOPへ

腸内細菌研究者がお届けする『腸』役立つ健康メソッド

プロフィール

プロフィール

名前:山口 幸三
    profile01.png

2003年3月

・北海道大学 農学部 卒業

・研究テーマは「土壌細菌が作る糖質代謝酵素の研究」

2005年3月

・北海道大学大学院 農学研究科 修士課程 修了

・研究テーマは「ルーメン細菌(牛の胃の中にいる細菌)が作る糖質代謝酵素の研究」

2005年4月

・国内大手製薬会社に入社し、研究員として12年以上勤務

・微生物が作るさまざまな物質の研究に従事した。また、腸内細菌に関するプロジェクトのサブリーダーとして研究を牽引した。

2017年6月 ・会社を退職し、独立
2018年 ・フローラボ 代表に就任

 

生命科学のおもしろさに惹かれた高校時代

小学生の頃から「社会科より理科」「国語より算数」が好きな理系少年でした。高校入学後も化学や生物を選択して、当然のように理系に進みました。

 

私が研究者の道に進むきっかけとなったのは「生物U」という高校の授業でした。当時、生物Uの授業で初めて「DNA、RNA、遺伝子、タンパク質」などについて学んだのです。生物の体の中で、極めて複雑な生化学反応が進行することで新しい細胞が作られていることに非常に驚きました。

 

もともと生物が好きだったこともあり、生命科学についてもっと深く学びたいと思うようになりました。そこで、「バイオテクノロジーを本格的に学べる」という真面目な理由と「雪国に住んでみたい」という不純な動機から北海道大学・農学部を志望しました。

 

微生物の研究に奮闘した大学・大学院時代

大学1〜2年生の間は塾講師や家庭教師のバイトに精を出していました。この2年間は大学生活を謳歌していたように思います。

 

大学3年の秋になると研究室に所属することになります。もともと生命科学の勉強がしたくて農学部に入ったのですが、自分が所属する研究室を選ぶ際には少し悩みました。なぜなら、生命科学といっても、動物、植物、微生物など、扱う対象はさまざまだからです。

 

植物にはそれほど興味がなかったので、動物を扱う研究室か微生物を扱う研究室のどちらにするか迷いました。このとき、各研究室主催の実験授業(学生実験といいます)がおもしろかったことから、微生物の生化学が学べる研究室を選びました。

 

その研究室は、学生が深夜まで実験していることから「不夜城」と呼ばれていました。実際、深夜0時に白衣で廊下を徘徊する先輩や、かび臭い地下室に置いてあるソファーで寝ている先輩がいました。このようなストイックな研究生活にも少し興味がありました。このとき、自分はMなんだと再認識しました。

 

「微生物の生化学を研究する研究室」を選んだことは間違ってなかったと今でも思っています。微生物の研究は想像以上に楽しかったからです。この研究室に所属したときから、私の研究者としての生活がスタートしたのです。

 

卒論の研究テーマは、「土壌細菌が作る糖質代謝酵素の研究」でした。簡単にいうと、土の中にいる細菌が作る酵素の研究です。1年半という短い研究期間でしたが、一定の成果を卒論にまとめることができました。

 

大学院進学後も同じ研究室に所属しました。大学院では「牛の胃の中にいる細菌が作る糖質代謝酵素」の研究テーマを新たに立ち上げました。このときはじめて「動物の体内にいる微生物」を研究対象とすることになったのです。

 

ただ、当時の研究室にとって「牛の胃の中にいる細菌」を扱うのは初めてでした。そのため、同じ研究を担当したメンバー(私を含む3名)にとってはすべてが試行錯誤の連続でした。

 

まずは、研究対象となる細菌の培養法を確立するところからです。研究対象の細菌は酸素があると生育できなかったため、嫌気培養装置(酸素がない状態を作り出せる装置)を購入することが最初の仕事でした。装置を入手したら、次は細菌を培養するための培養液が必要となります。

 

牛の胃袋にいる細菌が研究対象だったため、培養液には牛の胃液が必要でした。そこで、畜産学科の教授にお願いして牛の胃液を頂くことにしたのです。

 

ここから少し衝撃的な話になります。畜産学科で飼育している牛のお腹にはプラスチック製の蓋が付いています。そして、その蓋を外すと、胃に直接手を入れられるようになっているのです。そこから未消化のワラと一緒に胃液を採取するのです。

 

牛,フィステル

牛,胃液採取


※ 当時の写真が残っていなかったため、ぱるぷんてニュースより画像を引用

 

胃液採取の現場では、ベテラン風の大学院生が採取方法を教えてくれました。彼はその蓋を外した後、なんと素手で胃の中に手を突っ込んで、ワラを取っていました。そして当然のように「こんな感じでやってください」といってきます。

 

なんだか素手でやるのが当たり前のような雰囲気になっていたので、ためらいながらも素手で牛の胃袋に手を突っ込みました。このような経験をするなんて夢にも思っていなかったので、当時の情景は今でもよく覚えています。

 

なんとかワラと胃液を採取できたものの、困ったのはそのあとの食事です。素手で牛の胃袋に手を突っ込んだため、臭いがしみついてしまったのです。牛の胃の中では微生物による発酵が行われているため、臭いはまぎれもなく牛の糞の臭いです。

 

ご飯を食べようとするたびにその臭いが漂ってくるため、なかなか箸が進まなかった記憶があります。(ちなみに、牛よりも羊の方が臭いはきつかったです)。

 

研究対象の細菌を培養できるようになると、研究は比較的スムーズに進みました。その細菌が作る微量の糖質代謝酵素を精製し、その酵素を用いて新規オリゴ糖を合成することに成功しました。この研究成果は私が卒業後に科学雑誌に掲載され、特許を取得するに至りました

 

また大学院1年生の冬には就職活動を行いました。「学生時代に学んだことと関連する分野で人の役に立ちたい」という思いがあったため、製薬会社を中心に就職活動を行い、国内の大手製薬会社に内定を頂くことができました。

 

製薬会社での研究と独立

2005年4月より国内の大手製薬会社に勤務しました。配属された部署は「天然物創薬」に関する研究グループです。

 

※ 天然物創薬:微生物や植物が作る成分を薬にすること。2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智先生の研究がまさに天然物創薬です。大村先生は、伊豆のゴルフ場の土から、「薬の元になる物質」を作る細菌を見つけたのです。

 

入社して6〜7年は一貫して「微生物が作る成分の中から抗癌剤候補物質を探す」という研究に従事しました。この期間に、癌細胞の分子生物学について深く学びました。

 

担当した複数のプロジェクトで、抗癌剤候補物質をいくつか発見することができました。いずれもそれまで世の中で見つかっていない新規物質です。しかし、これらの物質が抗癌剤になることはありませんでした。薬効(薬の効き目)が弱かったり、毒性(副作用)が強かったりしたためです。

 

このように、長い年月をかけたとしても研究がうまく進捗しないことから、抗癌剤研究の難しさを痛感しました。

 

またこの頃から、抗癌剤研究に疑問を抱くことも多くなりました。抗癌剤というのは、たとえ病気が治らなくても、これまでの治療法よりも延命効果があれば新薬として認められます。そして私の中で、「数ヶ月余命を伸ばす薬」を作ることに少しずつ疑問が湧いてきたのです。

 

(注)これは研究者として力不足だった私の考えです。私よりもずっと優秀な研究者が世界中で抗癌剤研究に励んでいるため、画期的な抗癌剤が創出される可能性は十分にあります。

 

入社してからずっと研究に没頭していたため、このような疑問を感じることはありませんでした。しかし、担当プロジェクトが途中で中止になるという経験が続くうちに、自分がやっている研究の意義を考えるようになったのです。

 

そしてその頃から、抗癌剤とは別の研究をしたいと考えるようになりました。ちょうどその頃、生命科学の世界では「腸内細菌」に関する新しい知見が次々に発表されていました。

 

学生時代に、牛の胃袋にいる細菌を研究対象としていたこともあり、腸内細菌には非常に興味を持ちました。そして、数えきれないほどの学術論文を読んで知識を深めていきました。その過程で「健康を維持するためには、腸内環境を健全に保つことが重要」と考えるようになったのです。

 

また、「腸内細菌を対象とした創薬研究」を始めたいと思うようになりました。ただ、当時そのような研究をしている製薬会社は少なかったため、プロジェクトとして立ち上げるには周到な準備が必要でした。

 

前職のことなので詳細は伏せますが、周到に準備を進めた結果、ようやくある疾患領域において腸内細菌プロジェクトを立ち上げることができました。私自身もサブリーダーとして研究の進捗に貢献できたと思っています。

 

ただ、残念ながらそのプロジェクトは2016年に終了しました。その後も新しいプロジェクトを立ち上げるチャンスはありましたが、このとき私の心は「退職して独立する」という方向に少しずつ動いていました。

 

「製薬会社の方向性」と「自分がやりたいことの方向性」が微妙にずれていることを感じていたからです。詳細は後述しますが、医薬品開発による「病気の治療」ではなく、腸内環境改善による「病気の予防」で世の中に貢献したいと考えたのです。

 

そして2017年6月末に会社を退職し、2017年7月からフリーランスとして活動し始めました。2018年には「フローラボ」を設立し、他社サプリメントの販売、自社サプリメントの開発などのビジネス展開をするために活動しています。また、セミナーや講演会の講師としても活動しています。

 

「治療」から「予防」へ

私が腸内環境に興味を持ち、独立に至った背景を紹介します。

 

腸内環境はさまざまな病気や体調不良に関わることがわかっています。大腸がんや炎症性腸疾患などの腸の病気だけではありません。腸内環境は腸から遠く離れた臓器や血管などにも影響して、各種疾患の原因になっているのです。

 

例えば、アレルギー疾患、自己免疫疾患、動脈硬化、肝臓癌、自閉症、慢性腎不全などが挙げられます。病気ではありませんが、肥満にも関係しています。また抗癌剤の効き目にも関係しています。

 

このように、腸内環境は体の健康に密接に関わっているのです。そして、さらに重要なポイントがあります。それは「腸内環境は生活習慣によって変えられる」ということです。

 

病気の中には遺伝子に起因するものがあります。例えば、ダウン症や色覚異常などです。癌も遺伝子に異常が生じて発症する場合がほとんどです。

 

少し話が飛びますが、2013年、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんを予防するために両乳腺を切除したことをご存知でしょうか? 

 

まだ乳がんになっていないときでしたが、検査で癌の原因遺伝子が見つかったため切除したのです。治療ではなく予防のために手術を受けたことになります。

 

この例からわかるように、遺伝子に起因する病気を予防するのは非常に難しいです。なぜなら、遺伝子を自分で変えることはできないからです。

 

一方、腸内環境は変えることができます。たとえ今、腸内環境が悪く将来病気になるリスクがあったとしても、生活習慣を見直して腸内環境を改善することでリスクを低減できる可能性があります。腸内環境を健全に保つことにより、さまざまな病気を予防できる可能性があるのです。

 

私はこの「予防」という考え方に強く惹かれました。

 

製薬会社は基本的に病気を「治療」するための薬を作る会社です。言葉は悪いですが、病人がいて初めて儲けられるのが製薬会社です。

 

一方、「予防」はそもそも病気にならないことを意味します。抗癌剤研究に疑問を抱き始めていた私にとって、「予防」という概念は非常に意味のあることに思えました。

 

このような経緯から、自分の知識を「予防医学」に応用したいと考えるようになりました。この活動は製薬会社に所属していては自由に行えないため、2017年6月末に勤務先を退職し、独立しました。

 

当サイト「腸内環境と健康」について

腸内細菌に関する研究が著しい発展を遂げたことから、腸内環境に関する情報は巷にあふれています。インターネット上にも一般の人が書いたと思われる記事が数多く掲載されています。当然、その中には信憑性のないものや内容がまったくでたらめなものもあります。

 

私は情報の正確性を重視しているため、インターネット上の情報ではなく、これまでに読んだ一般書籍や学術論文に基づいた情報発信を心がけています。また、インターネット上の誤った情報に対して指摘・訂正していることもあります。

 

このように正確な情報提供を重視する理由は、「多くの人に腸内環境に関する正しい知識を持ってほしい。そして、長く健康でいてほしい」という思いがあるからです。

 

また、話が少し大きくなりますが、高齢化が進行する日本では今後ますます医療費がかかるようになります。多くの人が長く健康的な生活を送ることは、日本の財政状況にとっても望ましいことです。

 

たくさんの人が当サイトを利用することにより、健康で豊かな生活を送るためのヒントにして頂けると幸いです。そして、元気な人が増えていくことで、ほんの少しでも日本の将来が明るくなれば嬉しく思います。


トップ プロフィール サービスメニュー サプリメント お問い合わせ